約 431,313 件
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1025.html
254 名前:【SS】お米の日のお話[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 11 41 59.98 ID PCv4/S5X0 [1/14] 佳乃「今日のお昼は桐乃が作ったのよ」 京介「げっ。 桐乃が?」 桐乃「『げっ』てなによ。 イヤなら食べなくてもいいんだけど」 京介(今日一日腹痛で動けなくなるかも知れんが・・・桐乃を悲しませるよりはマシか) 京介「いや、貰うよ」 桐乃「本当は妹の手料理が食べれて嬉しいんでしょ?」 京介「・・・ああ、妹の愛情料理が食えるなんて、俺は三国一の幸せモノだぜ!」 桐乃「・・・キモ」 京介「自分からふっといてそれは酷くね!?」 桐乃「だ、だってキモいんだから仕方ないじゃん。 妹の愛情料理って・・・そんなにあたしの愛情が欲しいの?」 京介「そ、それは・・・」 佳乃「はいはい。イチャつくのは食べ終わってからにしましょうね」 桐乃「別にイチャついてなんていないから! ・・・はい、これ」 京介「おにぎりか」 桐乃「うん。今日は八月十八日、八十八でお米の日だからね。 ・・・先手をうっておかないと『今日はハイパー兵器の日だぜ!』って言って襲ってきかねないし」ボソ 京介「・・・俺がそんなこと言うはずないだろ?」 京介(そもそも、なんで桐乃が『ハイパー兵器』のこと知ってるんだ? 麻奈実にしか言ってねえのに) 京介「まあいいか。 いただきます」パク 京介「こ、これは!」 桐乃「ど、どう?」ドキドキ 京介「そうだな。 ・・・たこ焼きをおにぎりの具にするヤツは世界でおまえだけだろうよ」 桐乃「あたしのセンスすごいでしょ。 味はどう?」 京介「(覚悟してたのと比べれば)すごく美味い。 (手加減してくれたところに)おまえの愛を感じるぜ」モグモグ 桐乃「え・・・・・・」カァァァ 京介「じゃあ次はこれを・・・」 桐乃「あ。 口にご版つぶついてるよ」ヒョイ パク 京介「ちょっ!おまえ!」カァァ 桐乃「べ、別に兄妹だしこんなこと普通でしょ? ・・・それとも、あんたシスコンだから口で取って欲しかったの?」 京介「んなわけねーだろうが!」 桐乃「そうだよね。 ・・・今はお母さんがいるもんね。 本音が言えないよね」 京介「そうじゃねえから! ・・・おまえ、俺をからかって楽しいか?」 桐乃「うん。楽しいよ。 今度はあ~んしてあげようか? それとも口移しがいい? あんたが土下座して頼み込むなら考えてあげなくもないけど」ニヤニヤ 京介「てめぇ・・・ どうやら俺の本気の土下座を見たいようだな」ユラリ 佳乃「はいはい。イチャつくのは食べ終わってからにしましょうね ところで、お母さんが作ったこのおにぎりはどう思う?」 京桐「「さすがにおにぎりにカレーをかけるのはないと思う」」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1825.html
SS『久しぶりの人生相談』 「ねぇ。人生相談があるんだけど。」 「お、久々に聞いたな、その台詞。」 大学に通い始めて少し経ったある日、俺の部屋にやってきた桐乃が、口にした台詞だ。 「でも、そういえば、前に、"最後の"、って言ってなかったっけ?」 「あ、あたしは最後にするつもりだったの!でも、あんたがどこにもいくな!って言ったんじゃん!だ、だから、最後じゃなくなっちゃったの!悪い!?」 「へっ、悪くなんかねーよ。」 むしろ、嬉しいくらいだ。口には出さないけどな。 「で?今度は、どんな相談なんだ?」 「ふん、当ててみれば?」 「いきなりハードル高けえな、おい。ノーヒントかよ!」 「あんた、あたしのこと好きなんでしょー?だったら可愛い妹が何を望んでるか、わかるっしょ?」 ニヤニヤしながら言ってくる。 当てて欲しい、って望んでることは分かるけど、それが何かまでは分かんねーよ! ヒントでも無けりゃ、分かるわけねーっての。 仕方なく、何と言ってやろうかと、しばらく考え---。 「お布団デートとか?」 「なっ!ばっ!ばっかじゃないの!なんてことゆーのよ!あんたはっ!」 真っ赤になってまくしたてる。 へへっ、相変わらず予想外のことに弱い妹様だ。ちょろいもんだぜ。 「大体、あんたが望んでることでしょっ!それは!つーか、妹と何する気なの!あんたは!」 「だから、お布団デート。」 「だから、じゃないっ!」 「じゃあ、お布団添い寝?」 「じゃあ、ってなに!?てか、いっしょのことじゃん!」 「一緒に寝てるんだから、デートじゃなくて、添い寝かな?と。」 「添い寝かな?、じゃないっ!」 「そんなに興奮されると困るんだが。」 「こっ!興奮してるんじゃないっ!」 朝っぱらから元気なやつだ。 「はぁっ、はぁっ、、、、。はぁー。、、、あんたってば、つくづく、この状況を楽しんでるよねー。」 「まあな。両想いの妹といっしょの生活、ってのも、つくづく波瀾万丈の人生だと思うが、どうせなら、楽しまなくちゃ損だろ?」 「ったくもー。」 仕方ないなぁ、と言うカンジで苦笑している。こういう嬉しそうな仕草を見ることが、昔に比べてずっと増えてきた。 それにつられて、こっちも嬉しくなるってもんだ。幸せってのは、こういうことを言うのかもな。 「で、人生相談ってのは?せめて、ヒントくらい、くれないか?」 「ヒントねー、、、。」 人差し指を唇に当てて考え込む素振りを見せる。最近、こういう何気ない仕草でも、気になってしまうことがよくある。 以前は、そんなことはなかった気がするのだか、何故だろう?と考えてみて、思い当たった。 何のことはない、俺自身がただ素直になっただけのことなのだろう。 ずっと、俺の妹がこんなに可愛いわけがない、と思い込んで、それ以上考えないようにしていたことを、今では素直な気持ちで考えられるようになったってことか。 、、、なんか、だんだんと赤城のことを馬鹿にできなくなっているよーな気もするが、、、。まぁ、いいさ。 素直になって、幸せを感じられることが増えたってことは、悪くないんじゃないかと思う。 、、、こう書いていくと、惚気話っぽく聞こえるかもしれん。そんなんじゃないと思うのだが、どうだろう? 「じゃあねー、、、"夏"。」 桐乃が出してきたヒントがそれだった。 うーん、夏、、、夏ねぇ。定番で言ったら、"海"、かな。でも、泳ぐには少し早い気もするが、、、。 だが、そこで終わらないのが、今の俺だ。 泳ぐってことは、水着か。ちょうど今の時期くらいから、新作の水着とかが出ているんじゃないだろうか。てことは---。 「買い物か?」 桐乃が目をぱちくりさせる。 「当たり、、、だけど、、、なんで分かったの?」 「ふっ、、、愛の力だ。」 「、、、言ってて恥ずかしくない?」 「、、、言うなよ、恥ずかしいだろ。」 ばかじゃん、と言って、楽しそうに笑う。 「じゃあ、当てたご褒美に、いっしょに買い物に行ってあげるよ。嬉しいっしょ。」 「相談なのに、ご褒美なのか?」 「当たったのは人生相談の内容じゃなくて、望んでることのほうだったからねー。」 じゃあ、人生相談の内容は違うのか。でも、それに関連することなんだろうな、きっと。 とりあえず、頭の片隅に留めておくとしよう。 ------------------------------------------------ いっしょに買い物に来たのはいいが---。 女性モノの水着コーナーに女の子といっしょに入るのは、かなり勇気が必要だ。 前にもあったことではあるが、慣れるようなものでもない。 おまけにモデルをやっている妹といっしょなもんで、周囲の視線が集まりすぎる。 周りから見たら、どう見えてるんだろうな、、、。 そう思って耳を澄ましてみると、 「見て見て、すごい可愛い娘だよねー。彼氏は冴えないけど~(笑)」 「ホントホント~(笑)」 「あいつ、冴えねーツラしてるくせに、あんな可愛い娘と、、、マジムカつく。」 、、、冴えなくて悪かったな!聞き耳なんか立てるんじゃなかったよ、、、ちくしょう。 そんな俺の思いを他所に、あっちこっちを楽しそうに見て回っている桐乃。 なんか、夏コミで、同人誌をあっちこっち見て回っていたのを思い出す。 どっちも同じように楽しいんだろうな。きっと。 男の俺としては、買い物なんて何ヶ所も回るものじゃなくて、そこにあったものを買う、って感じなんだが。 でも考えてみれば、オタクがゲームショップやアニメショップをハシゴするのと同じようなもんか。 店によって品揃えが違うのだろうが、知らない人から見たら一緒にしか見えないだろうしな。 そんな、とりとめもないことを考えていると、あちこち見て回っていた桐乃が、幾つかの水着を持って戻ってきた。 「試着するから、コッチ来て。」 言われるがままについていったはいいものの、着替えている間、ずっと待ってるのが非常に気まずい。 シャッ! カーテンが空いて、桐乃が姿を見せる。 「どう?コレ?」 どう答えればいいんだよ、コレ。 モデルをやっているだけあって、スタイルはいいし、選んだものもすっげー似合ってる。 でも、たぶん、他に選んだものを見ても、同じように似合ってるだろうし、どれが一番良いかなんて選べそうに無い。 何より、桐乃の水着姿を目の当たりにして、前に見てしまったマッパが脳裏を駆け巡ってしまって、頭の中がそれどころじゃない。 思わず、視線を逸らしながら、 「い、良いんじゃないか?」 と無難な返事を返す。 「なにそれ、テキトー。」 しまった、これはこれで怒らせちまったか。俺は真っ赤になりながらも、なんとか視線を戻す。 「は、恥ずかしいんだよ、なんか。でも、か、可愛いんじゃないか?ほ、他のも試してみたらどうだ?」 「うん、そーする。ちゃんと見ててよ?」 とりあえずカーテンが閉まる。ほっと一息。 結局、5着ほど着替えた結果、最初のやつにすることにしたらしい。 理由を聞くと、『あんたが一番真っ赤になってたから。』とのこと。 俺が真っ赤になってたのは別の理由なんだが、そんなの言えるわけがない。 むしろ、さっきのイメージが焼き付いちゃって、いろいろとヤバイんだけどな。 ------------------------------------------------ 店を出たあと、おしゃれなケーキショップで一休み。 そこで俺は、ふと思い付いた質問をしてみた。 「それ、モデルの仕事とかで着たりすんの?」 「これ? これは仕事では着ないけど? つーか、仕事のときは、基本的に用意してもらったものを着るし。」 それを聞いて、何故か、モヤモヤした気分になってしまう。なんだこれ? 前に水着特集とかで、水着を着てたのは、雑誌を見て知ってんのに。 「、、、また、モデルとかの仕事なんかで、水着を着たりすんのか?」 いかん。なんか聞き方にトゲがあったかもしれん。 でも、正直に言わせてもらうと、他のやつらに自慢したいけど、他のやつらに見せたくない。 どーしろってんだ、一体。 「なーに?あんた、あたしに仕事で水着とか着てほしくないワケ?」 ニヤニヤして聞いてくる。あれ?怒ってないのか? むしろ、上機嫌になっているよーな、、、。 「へへっ、どんだけシスコンなんだってーの。」 嬉しそうに笑う。 「でも、さ。」 「え?」 「あんたがもし、、、もし本当にイヤなんだったら、水着の仕事はやめる。」 「やめる?」 「そう。だから、正直に答えてくれる?」 首を傾げて、顔を覗き込むようにして、そう聞いてくる。 そんな不意の仕草に、ついドキッとしてしまう。 だけど、桐乃の真剣な眼差しを見て、俺は素直にありのままの気持ちを伝える。 「、、、正直に言うと、やっぱイヤなんだけどさ。でも、、、。」 「でも?」 「それでおまえの可能性を潰してしまうのは、もっとイヤなんだよな。」 「、、、。」 「前の渡米の時は、おまえが無理してると思ったから、無理やり連れ戻したけどさ。」 「今回はそうじゃねえだろ? だから、、、イヤだけど、続けて欲しい、ってのが正直なところだ。」 「、、、シスコン。」 「ほっとけ!」 「じゃあさ、これからもし、そういう仕事が入ったら、あんたに相談する。で、内容を見て、受けるか受けないか一緒に考える。それならどう?」 「、、、おまえはそれでいいのか?」 「あたしも、あんたがイヤだっていうのを、そのままやりたくないし。できれば一緒に考えて決めてほしいかな。」 「、、、そか、わかった。じゃあ、それで頼む。」 「ん。わかった。」 満足そうな笑みを見せて、ケーキを食べ始める桐乃。 なんか、俺、桐乃のマネージャーみたいだな、、、。でも、それはそれでいいのかも。 そしたら、ずっと一緒に居られるし、加奈子んときみたいなカンジで、割と俺に合ってるのかもしれん。 そんなことを考えながら、コーヒーを一口飲んで、別の質問を問いかける。 「じゃあさ、今日買った水着は、いつ着るんだ? あやせとか加奈子とかと遊びに行く時とか、か?」 「ま、まあ、そんな感じ。」 なんか、らしくないな。いつもならもっとハッキリと答えるのに。 そこで俺はさっきの件に思い当たった。そういうことか。 「桐乃。帰りにちょっと寄り道しても良いか?」 「へ?う、うん、別に良いケド?」 ------------------------------------------------ 帰り道で、千葉ポートパークに足を向ける。ポートタワーといっしょにオープンした海沿いの公園だ。 二人で夕日を眺めながら、海岸沿いに腰掛ける。 「あんたと、こんなところに来るなんてねー。」 「まあな。」 夕方になると、まだ少し肌寒い。 しばらくの沈黙のあと、俺は桐乃に話しかけた。 「さっきの人生相談だけどさ。」 「うん。」 「思い出作り、ってことか?」 「、、、、、、そう。よく分かったね。」 みんなで遊んだ思い出なら、この二年間でたくさん増えた。でも、二人きりで遊びに行った思い出となると、それに比べると少ない気がする。 すれ違っていた時期もあったぶん、余計にそう感じるのだろう。 「桐乃、、、。」 そして、たぶん、桐乃もそれを感じているのだろう。 俺は、桐乃の頭にポンと手を置いて、言ってやった。 「思い出なんて、これからいくらでも作れんだろ、ずっと一緒なんだからさ。」 「、、、だから、子ども扱いすんなってーの。」 ぱしっと手を払い除けられる。 「へいへい。」 やれやれ、しょうがねーな。俺はそっと手を伸ばして---。 「じゃあ、これなら、いーのか?」 桐乃の肩を優しく抱きよせた。 「!」 ビクッとして身体を硬直させる桐乃。 「これも、ひとつの思い出、だろ?」 そう言ってやる。 「ば、ばかじゃん。」 硬直していた力がふっと抜ける。 「調子にのんなってーの、、、。」 と言いながら、今度は俺の肩にもたれかかってくる。 「また二人で、海に来るか。今度は泳ぎにさ。」 「、、、うん。」 、、、へっ、素直になってみりゃ、俺の妹はこんなにも---、なんでもね。 そして、俺たちは、そのまま寄り添い合っていた。 夕日が落ちるまで、二人で、ずっと---。 ------------------------------------------------ 「くしゅん!」 「寒いのか?」 「んー、ちょっとね。」 俺は自分の上着を桐乃にかけてやる。 「へへ、気が利くじゃん。」 「へっ、まあな。」 こんなちょっとしたことでも、声を交わして、二人で笑い合える。 そんな些細なことが、すごく嬉しくて。 そして今、そう感じられることが、すごく幸せで。 「じゃあ、そろそろ帰るか、俺たちの家に。」 そう言って立ち上がり、すっと手を差し伸べる。 「そだね。」 その手を掴んで立ち上がる桐乃。 そしてまた、いっしょに歩き出す。繋いだその手を離さずに。 繋いだ手にきゅっと軽く力を込める。 繋いだ手がきゅっと応えてくる。 お互いの想いを確かめるように。 掴んだ幸せを離さないように---。 ------------------------------------------------ そうして家に帰った次の日の朝---。 目覚めたときに、俺の布団にもぐり込んできて、となりで寝ている桐乃にビックリさせられて。 ---そんでもって、また愛のあるつんつんで怒られる俺なのだった。 Fin ----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/570.html
103 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/13(水) 14 38 19.84 ID HjqpCDkdO 桐乃「あたしのために喧嘩とかばかじゃん? その時間をもっと有意義なコトに使えっての」 京介「お前の事を真剣に考えてくれてる人達に向かって、そんな言い方はないだろうが!」 桐乃「あんたは?」 京介「え?」 桐乃「あんたとこのスレの奴ら、どっちがあたしのことを真剣に考えてくれてる?」 京介「そんなの俺に決まってんだろ。そうじゃなかったら兄妹で恋人関係になんかならねえよ」 京介・桐乃「エヘヘヘヘ」 おかしいな、なぜかオードリーになった -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1783.html
京介「ったく。 赤城の奴、今日は泊まれるだとか言っておいてドタキャンしやがって……」 京介「おかげ様で俺は飯抜きに加えてこんな時間にこっそり家に入らねえといけない。 鍵持ってて良かったよ、ほんと」 京介「……ただいまーっと」 一応、挨拶はしておかないとな。 礼儀として。 良く親父に躾けられたもんだぜ。 京介「……真っ暗。 ってことは皆寝てるか」 難関は階段。 軋んで音が出るからな。 俺は恐る恐る、一段一段、慎重に……だけども、なるべく早く上る。 上り終えさえすれば、部屋はすぐ目の前だ。 後は朝早くに起きて、今帰ってきましたよって顔をすれば完璧ってわけよ。 へへ、我ながらナイスアイデア。 ガチャリ。 ……やべ! 親父か? それともお袋か? 桐乃「……ふわぁあ」 京介「き、桐乃?」 桐乃「……ひっ!」 大声を出しそうになった桐乃の口をすばやく押さえる。 さっきまで寝てたような顔をしているし、トイレにでも行くところだったのだろうか。 京介「……声出すな! 分かったら頷け。 手、離すから」 桐乃は目に少し涙を溜めつつも、一度頷く。 京介「……よし。 離すぞ」 桐乃「……なんで居るの、あんた」 桐乃もなんとなく状況を把握したのか、限りなく小さい声で俺にそう尋ねる。 京介「……いや、実はだな」 こうなってしまった経緯を説明。 途中、桐乃はそれを黙って聞いていた。 桐乃「なるほどね。 で、話は終わり? あんたに構ってる暇無いんだケド」 別に俺も構って欲しくは無いっての。 ……いや、ちょっと待て。 さっきまで暗闇に目が慣れてなくて見えなかったが、こいつの着ている服って。 京介「……それ、俺の寝巻きじゃね?」 俺が言うと、桐乃はびくっと体を反応させる。 あれ……。 マジで図星だった……とか? 桐乃「そ、そんなワケ無いでしょ。 意味わかんないこと言わないで」 京介「でもお前そんなの持って無いだろ」 桐乃「こ、これは……! これは、買ったの。 今日」 京介「その割にはくたびれてる感じがするが……」 桐乃「……それは! め、めちゃくちゃ動いたから。 チョー動いた」 京介「……寝巻きで?」 桐乃「……寝巻きで」 顔が明らかに引き攣ってる。 怪しさで表すと覆面を被った奴が銀行に入ってきたくらいの度合いで怪しい。 京介「やっぱりそれ、俺のだろ」 桐乃「……だ、だから違うっての! 大体、なんであたしがあんたの寝巻きを着ないといけないの? 頭おかしいんじゃない?」 知るかよ。 その理由が知りたいのは俺だってのに。 京介「……他に服が無かったとか?」 桐乃はその言葉を聞くと、ぱっと表情を変える。 まるで思いついたかの様な顔。 桐乃「そ、そう! 他に着る服が無かったの! だから嫌々……本当にキモいんだけど、気付いたときはお父さんもお母さんも寝てたし、それでたまたま……本当にたまたま、あんたのがあったから借りてたってだけだから」 さっきと言ってること違げえし! お前、頑なに着てないって言ってたじゃん! 京介「……分かった分かった。 とりあえずそれ、明日戻しとけよ。 俺もう寝るから」 桐乃「……そのまま返せって言ってんの!? あ、あんたどうせ……シスコンだから、あたしの匂いが付いたの嗅ぐつもりでしょ」 京介「んなことしねえよ……。 どんな発想だっての」 桐乃「あーキモいキモい。 シスコン」 京介「もうそれでいいや。 じゃあ洗ってからでも良いから、お袋に洗ってもらっといてくれ。 じゃあな」 俺は桐乃にそう告げ、部屋に入る。 借りてるなら借りてると最初からそう言えば良い物を。 俺だって、そんなことで一々怒ったりしないっつうのに。 終わり ----
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1026.html
270 名前:【SS】2うへぇ2/1[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 12 44 05.96 ID d7H5FG4+0 [1/8] SSなんて書いたことないけどかいてみる 「ちょ、ちょっとあんた!」 リビングのソファーで寝ていると、我が妹様がお怒りの様子で俺に話かけてきた。 「な、なんだよ?」 「あ、あんた、これはどういうこと!?」 「げえ!?」 桐乃がそういいながら俺に突き出してきたのは、俺の眼鏡コレクションのさらに奥、秘境に隠していた桐乃コレクションだった。 なんで、おまえがそれのありかをしってんだよ!? こわいから聞かねーけどよ。 へたれ? うっせえ、ほっとけや! 「そ、それはあのな?」 「なによ?妹のグッズ集めてハアハア興奮してる変態シスコンバカ兄貴の言い訳なんて聞く時間があるほど、あたし暇じゃないんだけどー?」 「興奮なんてしてねーよ!」 カーッ、可愛くねー!! 夏の1件の時は天使なんて思ったけど、あれは気のせいだったな! しかし、確かに桐乃のいうことも一理ある。 自分の妹のグッズを買い込んで、ベッドのしたに隠すなんて、それこそ変態シスコンバカ兄貴がすることである。 ここは、ダメ元で説明してみるとするか。 「あのなぁ、俺がこいつを集めてたのはおまえのことが心配だったからなんだぞ?」 「し、心配?」 「ああ、妹のグッズが出てるなんて知ったら兄貴としては気になるだろ?」 「如何わしいものがないかとかチェックしてたんだよ。」 「キ、キモ!妹のこと心配してグッズ買っちゃうなんて、あんた、やっぱりとんでもないシスコンだよね。」 「わ、わりーかよ!」 俺は気恥ずかしくなって、桐乃から目を逸らした。 自分がシスコンなんてことは、とっくに知ってるつーの! まあ、桐乃も一応は納得したみたいだし、この話はこれで終わりだな。 そんなことを考えていると 「・・・んそう。」 「あ?] 「だ、だからっ、あんたがあたしのグッズを見て、どう思ったのか感想を聞かせろって言ってんのっ!」 「はあ!?」 また、この妹様は答えにくいことを聞いてきやがった。 言えるわけねーだろ!実の妹のグッズ見て可愛くてもだえ死にそうになってました、とかさあ! ところで桐乃。なんでそんな何かを期待してるような目で俺を見るんだよ。 下手に誤魔化そうとして怒られるのも嫌だし、正直にいうか。 もう、どうなってもしらねーからな! 「か、感想か。じゃあ言うぞ?」 「う、うん。」 「すっげー可愛いと思った!俺の妹って天使だったんだなって思ったぜ!」 「て、天使?」 「おうよ!いや、天使どころじゃない、もはや女神だな!」 「き、キモッ!キモッ、キモッ、キモッ!実の妹に向かって女神とかなにいっちゃってんの!?」 「思ったこといって何が悪いんだよ。おまえが感想を言えって言ったんだろーが。」 「そ、それはそうだけど・・・」 「もう、この際だから最後まで正直にいうぜ。」 「この抱き枕カバーをみたとき、俺のリ○ァイアサンがこれでもかってぐらい反応したぜ!」 「なっ、なっ、なっ!?」 「自分に正直になって、やっとわかったぜ!」 「俺はなぁ、おまえのことが「こっの変態ばか兄貴!グシャッ」ぐへらぁ!!」 なにがおきたか一瞬わからなかった。 ただ、そこには勢いあまって妹に告ろうとして、あやせたん以上のハイキックを妹にくらって無様な死に様を晒す兄貴の姿があった。 あー俺、妹に迫ろうとして拒絶されたんだな。 ふっ、妹よ。今のキック悪くなかった、ぜ・・・。 「・・・・ムードとか気にしなさいよね、全く。また言ってくれるの、あたし、待ってるからさ。」 意識を失う直前、こんなことが聞こえた気がしたが、きっと気のせいだろう。 271 名前:【SS】2うへぇ2/2[sage] 投稿日:2011/08/18(木) 12 44 53.91 ID d7H5FG4+0 [2/8] 意識が戻ったのはちょうど夕飯前だった。 親父が帰ってきて、夕飯を食べているときに隣の桐乃をちらっと見ると、まだ怒りが冷めていないのか顔を真っ赤に染めていた。 「ごちそうさまでした。」 十分ぐらいたつと桐乃はそう挨拶し、そそくさと早足で居間からでていってしまった。 はあーっ、また怒らせちまったか。 頭が冷えた今なら自分があり得ないことをしていたことがわかる。 飯食ったら桐乃に謝りにいくか。 「ごちそうさまー。」 五分ぐらいたった後、俺もご飯を平らげて、自室に向かうと階段を昇り終えたところに桐乃がいた。 なんだこいつ、俺のこと待ってたのか? そんなあり得ない幻想を一瞬でとばし、さっきのことを謝ろうとすると 「あ、あのさ。あたし別に怒ってるわけじゃないからさ。」 へっ?怒ってるわけじゃない? そんなわけねーだろ。おまえはこの変態兄貴を一刻も早くこの家から追い出したいはずだ。 「ま、まあ確かに?妹のグッズ集めてたり、あのときのあんたのテンションはキモかったケド。」 ほら見ろ、やっぱり軽蔑してんじゃねーか。 俺はこれ以上ないくらい落ち込んでいると 「それよりもあんたがあたしを想ってくれてるのがわかってすっごい嬉しかった。」 桐乃はあのときと同じ笑顔で俺にそう告げた。 心がだんだんと満たされていくのがわかった。 「な、なあ桐乃。」 「い、言いたいことは終わったからっ、じゃねっ!」 「お、おい!」 桐乃はそういうと自分の部屋にいってしまった。 俺が部屋に戻ろうと自室のドアノブをひくと、 「ねえ。」 桐乃がドアから体半分ぐらいだして俺に話しかけてきた。 「なんだ?」 「おやすみ、京介。」 そう告げると桐乃はまた部屋に戻っていった。 へっ、なんだよあいつ。そんなこと言うためにまた出てきたのかよ? 俺は緩む口元を必死に引き締め、桐乃の部屋に向かって告げる。 「おやすみ、桐乃。」 ----------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1094.html
568 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/13(火) 13 14 41.60 ID +iJywEJg0 [8/23] 9/14のイベント メンズバレンタインデー 男性が女性に積極的に愛を表現する日。 1991年に日本ボディファッション協会が制定。 バレンタインデーにチョコレートを贈るのに対し、この日にはプレゼントとして下着を贈る。 セプテンバーバレンタイン 女性から別れ話を切り出してもよいとされる日。 TBSラジオ「パック・イン・ミュージック」が発祥と言われている。 紫色の物を身に付け、白いマニキュアを塗り、 緑のインクで書いた別れの手紙を直接手渡すというのがルール。 なんでこんな混沌とした日があるんだw とりあえず、京介は今から桐乃に似合うエロ下着を買いに行くんだ。 932 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/09/13(火) 23 04 32.89 ID nqbfbYLM0 [3/5] SS『メンズバレンタインデー』 あ゛ーーーっ!最近ネタがマジみつからねーーー! ・・・つぅかぁ、加奈子みたいなぁ、ちょう有名SS作家サマとしてはよぉ? おもしれーネタじゃないとSSなんて書けないしー。 つーか、そうじゃねーと加奈子のファンのみんなに悪いっていうかよぉ・・・ 「うーん、うーん・・・」 「ね、加奈子?何をそんなに唸ってるの?」 「おっ、あやせじゃん!」 そーだなー。あやせ『サマ』にならちょっとくらい相談したっていーよなぁ? なんたって、同じSS書き仲間じゃねーか! 「あやせサマぁ、加奈子ぉ、ちょっとお願いがあるんだけどォ~」 「か、加奈子っ!?ど、どうしたの?熱でも出たのっ!?」 ・・・いきなり熱とかひどくねェ? でも仕方ねーよなぁ。ファンを喜ばせんのも仕事だもん、少しくれぇ妥協しねーとな。 「あやせも結構SS師として有名になってきたじゃ~ん?」 「そ、そう・・・かな?」 「そうだってばぁ」 お?あやせのやつ、結構嬉しそうじゃんかよぉ。 もしかして、結構ノリノリで書いてんのかよ? つぅか、てめー、桐乃の兄貴のコトぉ、変態だとか散々罵ってたじゃねーかよぉ。 まァ、それはそれとしてぇ・・・ 「でぇ、そんなあやせサマは、話のネタってどういう風に考えてんのかって、 加奈子にもぉ、ちょっと教えて欲しいっていうかぁ?」 「あ、加奈子も結構ネタに困る事があるんだ・・・安心したなぁ」 ん~?それじゃあやせって、そんなにネタに困ってる事があんのかよ? だいじょーぶかよぉ?ちょっと心配になってきたぜぇ? 「え、えとね。加奈子。あんまり笑わないで欲しいんだけど・・・」 「笑わねェってばよぉ~」 「わたし、インターネットで記念日とかを調べて、それを元にお話を書いたりしてるよ」 「おぉ!マジかよぉ。そんな手があったかぁ!」 「う、うん。加奈子がそんなに驚くなんて、むしろ、わたしがビックリだけど。 それでね。例えば今日なら・・・メンズバレンタインデー・・・?」 ヘンな記念日だぜぇ? でも、確かにネタにはなるかもなぁー 「で、どんな記念日だってばよぉ?」 「え・・・と・・・ 『男性が女性に積極的に愛を表現する日。 バレンタインデーにチョコレートを贈るのに対し、この日にはプレゼントとして下着を贈る。』」 「・・・まじかよぉ?」 「変態っ!!変態っ!!!だ、誰ですかっ!こんな記念日を考えたのはっ!?」 「あ、あやせ、落ち着けって」 つーか、桐乃スレ的には、桐乃の兄貴が桐乃に下着をおくるぅ? あーダメダメ。加奈子もぉ、桐乃が兄ぱんくんかとかはよく書いてるけどよぉ? アレはネタで済むけどよぉ、桐乃の兄貴が下着のプレゼントとかぁ、ただの変態じゃねぇかよぉ・・・ 「・・・殺す・・・お兄さん・・・殺す殺す殺す・・・!」 ってか隣怖ええぇぇぇぇぇぇぇ! 「あ、あやせぇ、こ、こいつはただの記念日だろぉ?」 「・・・そ、そうだよね?いくら、あの近親相姦上等の変態お兄さんだからって、桐乃に下着のプレゼントなんて!」 あやせのやつの暴走っぷり、最近結構あぶなくねぇかぁ? と、とりあえず、加奈子ぉ、自分の身の危険もかえりみず、あやせを止めたんだぜぇ? もっとみんな褒めてくれよなぁ? 「あっ、あやせー!加奈子ー!こんなところで何してるの?」 「き、桐乃ぉ?」 「桐乃っ!?」 こういう時に限って、桐乃かよぉ!? お、おねげぇだからぁ、余計なコト言わないでくれよぉ? 「なに?インターネットで探し物?」 「ち、違うよっ!ちょ、ちょっとしたネタ探しで・・・」 おいおいあやせサマぁ?焦ってボロを出すのは桐乃の専売特許だったろぉ? 「まァ、ちょっとした打ち合わせみてーなものだっての! だからぁ、今回の仕事にかんけーない桐乃にはあんまり見せちゃいけないってゆーかぁ?」 「あ、そうだったんだー。ごめんね、あやせ、加奈子!」 「う、うん・・・」 「あー、いーいー。気にすんなってぇ」 あやせぇ?これで貸し1なぁ? ま、ちょっと空気が悪くなっちまったけど、仕方ねーよな? さぁて、話題話題っとぉ。 「そ、そういえば、桐乃って今日が何の日か知ってる?」 「えっ?」 「ば、ばかっ!」 「今日、メンズバレンタインデーって―――」 「しっ、知らないッ!!!」 「き、桐乃?」 あやせぇ、てめー、貸し2なぁ? 「あ、あたしっ、まだはいてないからっ!!!」 「な、何の話?」 「兄貴のプレゼントなんて言ってないもんっ!」 あー・・・やっちまったぜぇ・・・ つか、マジかよぉ・・・ 「え、えと・・・桐・・・乃?」 「ご、ごめんっ!あたし、用事ができたからっ!」 桐乃のヤツ、顔真っ赤にして逃げちまったじゃねーかよぉ・・・ 「加奈子?」 「んー?あんだよぉ・・・」 「わたしも、とっても大事な用事ができたから」 「お、おう・・・」 この後桐乃の兄貴がどーなるかは知らねえけどよぉ。 一言だけ、加奈子にだって言いたい事があんだからな! ・・・・・・・・・うへぇ×7 End. -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/1105.html
396 名前:【SS】[sage] 投稿日:2011/09/16(金) 15 49 21.28 ID pJAqbDnx0 [12/12] SS京介さんのセクハラ疑惑 ベッドでマンガを読んでいた俺はいきなりドアが蹴り開けられて飛び起きた。 桐乃?…なんか背後からダークオーラが立ち上ってる気がするが…なんかやったか俺。 「京介!あんたせなちーにセクハラやったんだって?マジなら殺すよ!」 「ちょ…まて!てか疑問形で聞いてきて死刑確定かよ!」 「当たり前じゃん!妹の友達にセクハラとかマジありえない」 目が異常に据わりすぎだろ桐乃。元ラブリーマイエンジェルあやせたんよりこえーよ! このまま睨みあってるだけで目で殺されそうだぜ…さすが桐乃の眼力も半端ねえな。 「いや、あれはだな。瀬菜のホモオーラに対抗する為に仕方なく」 「うっさい!とにかく気に入らないっての!」 聞いてねえし…つか瀬菜のやつ最大級の爆弾落としやがって。 つか何言っても聞きそうにないな…あざの1つや2つ我慢するか。 「…にあるじゃん」 「…は?」 「傍にいつでも触れる胸あるじゃん!なんでせなちーなんだって聞いてんの!」 「おま…っ!揉んでいいのか?じゃねえ!そ、それは男としての尊厳がだな」 「尊厳って何?カリ○アンコムでエロ動画巡回する事?」 「ごめんなさいありません。…だがあのサイズは反則すぎる…想定E、いやFカップはあるんだぜ!」 「あんたやっぱり揉んだんじゃない!この…!」 「揉んでない揉んでない!赤城に聞いただけだって!」 …少しだけダークオーラが鎮まったように見える…なんとか死は免れた…か? 「きょ、今日だけだからね!」 目線を自分の体と俺の間で行き来させていた桐乃が唐突にそう言った。 「今日…ってなんすか?」 「だ、だから…!あんたも色々あるんでしょ。今回だけトクベツ許してあげる」 「意味がわからん…けど許してくれるのか?」 桐乃はそう言い残して部屋から出て行った…ふぅ、この年で走馬灯見ることになると思わなかったぜ。 …ふわぁ…あ…なんか異常に神経使ったせいか眠気が…まあいい…このままね…る…。 -かなり険悪な状況だった、にも関わらず俺は至高の夢を見ていた。 だってさ、夢の中じゃあの桐乃が俺に胸を揉ませているんだぜ。 さすがに瀬菜の超ド級には及ばないが俺好みの手に収まるサイズだ。 それにこうやって揉んでいればいつかは瀬菜すら越えるかもしれないだろ? しかしリアルな感覚だな…前に一度触っただけだってのにこの感触!揉みごたえ抜群すぎるだろ! そして視界にうっすらと見える桐乃の表情がたまんねえ!! 俺のリヴァイアサンをここまで震え上がらせたのは桐乃だけだぜ。 …惜しむらくはこれが夢だって事。まあさすがに桐乃がこんな姿を見せるわけないよな…。 -朝に目を覚ました時、俺の愚息様がかなりやばかった事だけ伝えておこう。 あとなんでか知らんが桐乃が妙に上機嫌だったな。 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/515.html
258 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/04/03(日) 21 09 19.06 ID LhyuwUDUP 121と 215 この二つをふんだんに盛り込んだ話を書こうと思って書いていたら、こうなった 見比べつつ見ると面白い……かもしれない! ------------------------------------------------------------------------------ 「よう。いきなりこんなところに呼び出してなんの用だ?」 俺は今近所の公園に来ている。あやせとよく会っていたあの公園だ。 でも今回俺を呼び出したのはあやせじゃない。 「桐乃?」 「兄貴……」 そう、今回俺が呼び出された相手は桐乃だった。 「アンタに、言いたいことがあるの。すごく、大事な話」 「家じゃダメだったのか?」 「ダメってワケじゃなかったけど、あたしはここでアンタに伝えたいと思ったから」 「そうかよ」 大事な話か。 桐乃の目は決意に満ちた、覚悟を決めた人間の目をしていた。 これ以上は逃げられない。そう思わせる目だ。 それなら俺も覚悟を決めよう。そうしないと桐乃に失礼だ。 「あたしが伝えたいことっていうのは一つだけ。ホントはもっともっと言いたいことがあるけど、それはこれを伝えた後でいいから」 「一つだけ……」 「うん、それだけが、今伝えたいこと」 伝えたいこと……それはいわれずともわかっていた。 黒猫に、沙織に、あやせに。色んなやつに迷惑をかけた末の今だ。わからないわけがなかった。 「あ、あたし! アンタのことが――」 「桐乃」 あえて桐乃の言葉にかぶせるように名前を呼ぶ。 ビクリ、と体を震わせる桐乃に少しだけ悪いと思うがそこから先はダメだ。 「その先は言わないでくれ」 「あ……」 なんで言わせてくれないの? 言っちゃダメなの? それすらさせてくれないの? そう言いたげな表情をする桐乃。 でもこれは譲れないだろ。だってさ 「男の俺から言わせてくれよ。そうしねえと決まんねえだろ?」 そう言ったときの桐乃の顔はなんと言えばいいだろうか。 信じられないものを見るような、ありえないものをみたような、そんな顔をしていた。 「俺さ、桐乃。お前が好きだ」 無言の時間が流れる。 その時間をなんて形容すればいいだろう。一瞬だったような気もするし、それこそ永遠とすら感じた。 そんな時間が流れた後、桐乃はポロポロとその両目から涙を溢れさせた。 その事態に、覚悟していたはずなのについ動揺してしまう。 「お、おいおい。こんな時に泣くなよ……バカだな」 「うっさい! あんたが、アンタが……っ!」 「悪かったよ。ずっと、待たせてごめんな」 「―――っ!」 ドン、と勢いをつけて俺の胸に飛び込んでくる桐乃。 俺はそのまま桐乃の背に手を回し、ぎゅっと抱きしめた。 「ずっと、ずっとアンタが好きだった――!」 「ああ」 「なんで! ここまでやっても何であたしの気持ちに気付かないのって! なんでこんなに鈍感なのよって!」 「それは、悪かったと思ってる」 「それなのに余計に優しくされて、もっと好きになっていって……」 「…………」 「気持ちばっかりが膨らんで、どうすればいいのかわかんなかった」 「そう、か」 「だからこの気持ちに、決着をつけたかった。これ以上皆に迷惑をかけたくなかったから」 「そのためにあんなことをしたのか?」 「うん。結局皆に迷惑かけちゃったけどね」 「そうだな。今までにない大迷惑だったろうな」 「うっさいわね。その原因にアンタも入ってるって事、忘れないでよ」 「わかってるさ」 「……このまま時が止まっちまえばいいのにな」 「……キモッ。アンタにそんなキザな科白似合わないっての」 「うわ、ひでぇ」 「まあ、でも……」 「ん?」 「あたしも同じ、かな」 その言葉に胸がぎゅっと絞めつけられる。 桐乃の顔が見たくなって、肩を掴んで少しだけ距離をとった。 顔を上げた桐乃は顔を真っ赤にして、流した涙をふこうともせず、目を潤ませていた。 もう、止まれない。 「なあ、少しだけ、目瞑っててくれねぇか?」 「……バカじゃん。そういうのは口に出すもんじゃないっての」 初めての桐乃の唇は、ひどく甘い味がした。 ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ 「ねえ」 「ん? どうした?」 「ちょっとだけさ、遠回りして帰んない?」 「は? 何でだよ?」 「チッ、察し悪いなあ……わざわざ言わなきゃわかんないの?」 いや、なんとなく言いたいことはわかるんだけどよ。 ていうか桐乃。お前こんな風になっても何も変わんないのな! ま、そのほうが俺達らしいっちゃらしいんだろうけど。 「……もう少しぐらい、二人きりでいたいじゃん――ひゃっ!?」 視線を逸らして、顔を赤くしながら言う桐乃を俺は自分の中から沸いてくる衝動のまま抱きしめていた。 何こいつ。可愛いすぎるんだけど。 「ちょっ! あ、アンタまた――」 「ヤベーって」 「は?」 「お前があんまり可愛いこと言うからドキドキしてくるじゃねえか」 「か、可愛いって…!? あ、あたしは元から可愛いっての! このシスコン! は、放しなさいよ!」 「いやだ。放さねえ。ってか放したくねえ」 「んな!? あー、うー……もう、しょうがないなあ……。す、好きにすればいいじゃん」 文句を言う桐乃ではあるが、抱きしめられたまま暴れだすことはなかった。 そうしたまましばらく抱き合った後、俺たちはゆっくりと帰路につく。勿論、少しだけ遠回りして。 どちらともなく手を繋いでいたのは、心の距離の表れだったかもしれない。 「……俺さ、多分、お前のことずっと好きだったんじゃねえかな」 「何よ今更。『あの時』は気持ち悪そうな顔したくせに」 「し、仕方ねえだろ? 『あの時』ってのがいつかはわかんねえけど、お前の気持ちなんか知らなかったし。 俺も「兄貴だから」ってどっか意地になってた部分もあったしよ」 「フン……あたしがあのときどれだけ傷ついたか、アンタなんかじゃ絶対にわかんないわよね」 「だから悪かったって! い、今はこうしていられるんだからいいじゃねえか!」 「何よそれ。散々期待させられて裏切られて、今まで傷つけられたあたしに対するアンタの罪がその程度で許されると思ってんの?」 「ぐっ……な、ならどうしろってんだよ? またエロゲーの深夜販売でも行けばいいのか?」 「はあ? ったく、ホントアンタって想像力が貧困ね。そんなだからあたしが苦労するってのに……」 「……申し訳ないっす」 「もういいわよ。あんたがそういう奴だってわかってるし」 なんだろうこのやるせなさ。俺、まったくもって年上としての威厳というかそういうのが皆無だよね! これじゃあどっちが年上かわかんねえよチクショウ! 「……あたし達さ、こ、告白もしたんだし、もう付き合ってるってことじゃん?」 「お、おう。そういうことになるな」 ヤベえ、改めて言われるとすげぇ恥ずかしい。俺顔赤くなってないよな? 照れ隠しに手をニギニギしてみる。そうしたらニギニギし返された。 まったく逆効果だった。 「だ、だからさ――今度、どっか連れて行ってくれて、それであたしが満足できたら許してあげる!」 「それって……」 「これ以上あたしに言わせんな! バカ!」 プイ、と頬を膨らませて明後日のほうへ顔を背ける桐乃。 態度とは裏腹に手にこもる力は強くて、それがこいつの想いを伝えてくれる。 「……わかった。予定決まったら言うわ」 「期待しないで待っててあげるわよ」 「へっ。その減らず口、後悔すんなよ?」 「あーはいはい、せいぜい頑張ってあたしを楽しませてよね『京介』」 「…………」 「…………」 「―っく」 「―っぷ」 「「あははははは!!」」 お互いに愉快そうに笑い合う。 きっとこれから、俺たちはこうやってずっと過ごしていくんだろう。 笑ったり、泣いたり、時には喧嘩したり。 もしかしたら、いつか別れる時が来るのかもしれない。 たとえそうだとしても、俺たちはそれまでこの幸せをかみ締めていこうと思う。 桐乃となら、それがきっとできるはずだから 「なあ桐乃」 「何?」 「これからも、よろしくな」 「うん!」 -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/174.html
348 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/01/11(火) 22 00 02 ID qWVLEfWw0 <俺の妹のくんかくんかが有頂天でくんかくんか> ※時系列 :6巻〜7巻 ※注意事項:くんかネタ 俺の名前は高坂京介。知ってのとおり平凡な高校生だ。 今日も今日とて実妹から借りた妹モノのエロゲーをクリアするという苦行を終えた俺は、 報酬として妹―――桐乃からの罵倒を賜るのだった。 「あたし3日でフルコンしろって言ったよね? なのになんでそれが2週間もかかんのよ!? あんたマジやる気あんの!?」 「・・・大変申し訳ないっす。」 「あんた、あたしが留学してる間もサボりまくってたでしょ。その間のノルマもきっちり こなしてもらうかんね。」 「えー、マジかよ。それって俺のせいじゃなくね?。」 「何か言った?」 「・・・なんでもありません。」 てめぇいい加減にしろよ!?何で俺が好きでもないエロゲーを、お前がいない時まで コツコツやんなきゃなんねぇんだ!!・・・と言ってやりたかったね。 「・・・チッ。もう今日はいいから。さっさと出て行ってくんない?」 「へいへい。」 「あ、ノーパソ。」 ようやくクソ生意気な妹から解放された俺は、部屋に戻ってからノーパソを返し忘れたことに気付いた。 気は乗らねえが返しに行くか。勉強の妨げにもなるしな。どうだ、受験生の鏡だろ? 妹の部屋のドアノブを回す。 「悪りぃ、桐乃。ノーパソ――――。」 「スンスン...ハァハァ......。」 えっ?何してんのコイツ? 桐乃はいつも俺に貸してくれている、猫のクッションに顔を埋め、首を振って「イヤんイヤん」している。 「んはぁぁぁ・・・あああ兄クッション。あ、兄貴がさっきまで跨ってたホヤホヤ兄クッション。 くんくん。はぁああああぁぁ・・・バカ兄貴、アンタが跨るのはクッションじゃなくて 妹でしょ!しっかりしなさいよシスコン!キモ、キモキモっ。スンスン、スンスン・・・。 んんんん〜〜。こ、この濃厚な兄臭。あああ、兄貴の大事なトコとか当たってた。あたし見てたし! 兄貴分かってんの?これクッションだよ?枕代わりにするコトもあんのよ?そ、それって兄貴、 妹の頭に兄貴の一番濃厚な臭い、移っちゃうんだよ?こ、この変態!シスコン!強姦魔! くんかくんか。はぁぁ・・・あたし、兄貴に臭いうつされてる。兄臭に染められちゃうのぉぉぉ。 この鬼畜!何、妹に自分の臭いマーキングしちゃってんの!?こんな濃厚なマーキングされちゃって、 あたしがお嫁に行けなくなったらどうすんのよ!?スンスン・・・。 うそうそぉぉぉん。あたしドコにも行かないよぉぉ。シスコン変態兄貴、あたしがいないと死んじゃうモン。 だからこうして必死で兄マーキングしてんでしょアンタ!?分かってんだかんね、この変態!」 「ウワァァァああああぁあぁぁーーーーーー!!!???」 「ひっ!!!???」 何が何だか理解する前に、本能が反応したのか、俺は絶叫していた。 そしてそのまま目の前がが真っ白になった。 「あ、あぁぁぁぁあああああぁぁぁっ・・・・・・・・・・・・。」 兄臭に包まれ、至福のくんかタイムを満喫していたあたしは、突然の悲鳴で現実に引き戻された。 ドアのそばに京介が倒れている。 み、見られた!?見られたの!!!?? あたしの顔は、真っ青だったに違いない。 どどどどど、どうしよう!?どうしよう!!!?? 冷や汗がダラダラと額から流れ落ちていく。全身の寒気と震えが止まらず、かちかちと歯を鳴らす。 あうあう……あわわ……と、言葉にならない声が漏れた。 「ちょっとーーーー。うるさいわよーーーーー!?」 「ひっ!?」 階下からお母さんの怒る声がした。 しかし、それ以上追及する気はないらしい。 あたしはホッとしたのをきっかけに、徐々に冷静さを取り戻していくのを感じた。 「と、とにかく兄貴をベッドに運ぼう。」 京介の体をズルズルと引っ張る。 「お、重っ・・・。細いクセしてなんでこんな重いのよ、このバカ・・・。」 「よっ!」 何とか京介の部屋にたどり着き、ベッドに横たえるために勢いよく体を持ち上げる。 でもやっぱり重くて、そのまま一緒にベッドに倒れこんでしまった。 「きゃっ!?」 ドシン。あたしは京介に覆いかぶさるようにしてベッドに倒れ込んだ。 「―――――っ!!!??」 すぐ近くに京介の寝顔があった。 気絶したくせに、穏やかな顔で眠っている。 「あに・・・き・・・・。」 あたしは寝息を立てる京介の唇に、自分の顔を近づけ―――――。 「スンスン・・・。あ、兄寝息ktkr!! ハァハァ・・・。あぁぁあああ。兄貴の生寝息。超イイよぉぉ・・・。くんかくんか。 んはぁぁぁああああ・・・。何これ、信じらんない!!神様ありがとう!!!! くんくん・・・。はぁぁ・・・。の、残り香じゃなくて、今まさに兄貴から放出されてる、 産地直送兄スメル!!!うぁぁぁ・・・。あ、あたし連れてかれちゃう!? 兄トラックに乗せられて、兄貴にお届けされちゃうよぉぉぉぉぉぉ!!!。 あたし、鬼畜兄貴に誘拐されちゃったぁ。もう戻れないのぉぉぉおおおん。 アンタ、ここまでやったんだから覚悟出来てるよね!?妹誘拐したら犯罪だよ?終身刑だから!! あたしが許すまで、兄貴、妹プリズンに閉じ込められちゃうから。絶対許さないんだからね!! はぁぁぁぁ。スリスリ。何だかんだでスキンシップあるけど、兄貴すぐ離れたがるし・・・。 シスコンでしょアンタ。あたしのコト離さないでよバカぁ。くんかくんか。 あぁぁぁ・・・。兄貴、顔近い!近いから!キモ、キモっ!妹の唇奪っちゃうの?後戻りできないよ? そんな性犯罪者の兄貴に付き合ってあげるのあたしだけなんだからね!!早く奪ってよぉぉぉ。 あ、あたしからなんてしてあげないんだから。最初は兄貴からじゃなきゃヤなんだかんね!? このバカ!変態!シスコン!マジキモい!でも大好き!好き好き好き!!兄貴愛してるぅぅぅぅ。」 ・・・・ん? あれ、俺寝てた・・・?なんで・・・・。 温かく、柔らかな重みを感じた。 すぐ傍にだれかいる。キラキラしてて、甘い香りがする。 「・・・あれ、きり、の?」 「――――――っ!!!???」 「死ねぇぇぇぇぇっぇぇぇぇぇぇぇええええ!!!」 俺は再び意識を失った。 終われ -------------
https://w.atwiki.jp/kiririn/pages/909.html
159 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2011/07/04(月) 00 34 02.22 ID Y3J4a27d0 【SS】すばらしきこのせかい 俺が家に帰ると、珍しく桐乃の友人たちが遊びに来ていた。 「お兄さん、お邪魔してます」 「あ、桐乃のお兄さんじゃん。ちーす」 あいも変わらずあやせは丁寧に、加奈子は乱雑に挨拶をしてくる。 あと一人、ランなんだったかは今日は来ていないようだ。 「・・・・・・おかえり」 桐乃は俺を睨みつけてくる。 関わんな、と言いたいらしい。 「いらっしゃい。麦茶でも飲むか?」 俺は鞄を床に置くと、キッチンへと足を運ぶ。 「ありがとうございます」 「加奈子はオレンジジュースかカルピスね」 「はいはい」 ちょうどオレンジジュースがあったので、麦茶3つとオレンジジュースをコップに注ぎ、みんなのところに持ってくる。 「ありがとう」 「サンキュ」 「・・・・・・」 相変わらず桐乃は俺を睨んでくるが、麦茶は素直に受け取ってくれた。 「うん?人生ゲームか」 三人はリビングの中心で人生ゲームを楽しんでいるようだった。 一番は桐乃で半分以上終わっている。 二番はあやせで、桐乃とはずいぶんと離されている。 そしてビリは加奈子。まだスタート近くでウロウロしていた。 「この間懸賞で当たったんです。まだ未発売の最新のらしいですよ。 お兄さんも一緒にどうですか?」 「面白そうだな。だが・・・」 桐乃をちらりと見る。 ますます不機嫌になったようだ。 「お兄さんもやろうぜー。今加奈子お金が少ないからさぁ、援助してくんね?」 そんな桐乃の様子も気にせず、加奈子も俺を誘う。 「だとよ。俺も参加していいか?」 「・・・・・・まぁ、いいけど」 珍しく、妹様は俺の参加を認めてくれたようだ。 「けど、あんたがビリになったら罰ゲームだからね」 場を悪くするより、後で俺を困らせる方を選んだということだろう。 まぁ、桐乃からの罰ゲームなら歓迎だけどな。 「あとあんたはスタートから、あたしたちは今のままだから」 「すでに俺の罰ゲーム決定かよ!」 流石にここからの逆転は難しそうだ。 ・・・いや、加奈子には勝てるかもしれん。 敗北を覚悟しつつ、俺は参加を表明した。 「8マスか・・・イベントだな」 三十分後、あっさりと加奈子を抜きつつ、俺は少しばかりの財産をためていた。 それにしても加奈子、最大10のところ毎回3以下なんてむしろすごいな。 俺が来てすぐにアイドルに転職し、地道な活動を行っているようだ。 寄り道回り道はしているが、楽しんでいるようで何よりだ。 あやせはモデルとして大成し、結構な額の財産を持ち、豪華なマンションに住んでいる。 すでに結婚しており、子供が二人いる。 相手は誰だ。ブチ殺してやる。 桐乃はゴール目前、財産はぶっちぎりのトップで、モデル、人気作家、世界規模のアスリート、etc...とマルチに活躍している。 ただ、まだ結婚はしていない。その事実に俺は胸をなでおろす。 「さてと、イベントは、と」 イベントカードを一枚引く。 内容は― 「ずっと大切に思っていた異性と結婚する。 みんなからご祝儀として$1000もらう。 すでに結婚している場合には引きなおす」 結婚か。 ・・・・・・相手は、誰なんだろうな。 「お兄さん、結婚おめでとうございます」 あやせが虹彩のない瞳で俺にお札を渡してくる。 なぜか$1000ではなく、$100だったが、俺は文句も言えずそれを受け取る。 次に加奈子が俺に身体を寄せてきて 「なぁ、桐乃のお兄さん~ 加奈子と結婚しねぇ?」 「「「はぁ?」」」 三人の声がハモる。 こいつ、何言ってんだ? 「もう絶対に桐乃には勝てないしぃ、加奈子あんまりお金持ってないしぃ、 結婚して財産を共有しねぇ?」 「けど加奈子、そんなルールは・・・」 「ルールなんて適当でいいじゃん。楽しければそれでいいんだし。 ルーレット回すのは交互、給料は二人の分もらえる。 イベントは・・・まぁ、内容によって決めればいいべ。 それくらいのハンデがねぇと、加奈子もお兄さんも勝てねぇって」 「う~ん。でもお兄さんと加奈子がなんて・・・」 あやせは首を縦に振ろうとしない。 まぁ、自分が嫌いな男と自分の友人が、ゲームとはいえ結婚するのはあまり良い気分じゃないだろう。 もし赤城がたとえゲームの中でだろうとあやせと結婚しようとしたら、俺は間違いなく赤城を殴り倒す。 あれ?これは例として間違ってるか。 もし赤城がたとえ想像の中でだろうと桐乃と結婚しようとしたら、俺は間違いなく赤城を殴り倒してあやせと協力して山に埋める。 ・・・・・・これも例として間違ってるか。 「お兄さんはそれで良いんですか?」 「う~ん」 横目で桐乃を見る。 俺の正面に陣取る桐乃は、俺がゲームに加わってすぐは機嫌を直して楽しそうにプレイしていたが、 プレイしながら俺があやせや加奈子と雑談していると少しずつ機嫌が悪くなり、今では噴火する直前といったところだ。 いつものように俺に友人を取られたようで面白くないんだろう。 あるいは俺が友人たちを口説かないか心配しているか。 さすがに桐乃がいる前で、何時ものようにテンション高めにあやせを口説いたりしないから安心しろって。 それに話しかけてくるのはもっぱらあやせと加奈子だぜ? 俺からは話していないっつーの。 「・・・・・・せっかくのゲームなんだし、『好きな人』と結婚したら?」 「むっ」 俺に彼女をつくるなとは言ったが、ゲームなら結婚しても別にかまわないってことかよ。 ・・・俺は結婚すんなって言ってほしかったんだけどな。 「そうだなぁ、このままじゃ桐乃に勝てねえしな~。 加奈子と結婚しようかなぁ」 ちらちらと桐乃を見ながらわざとらしく言う。 「・・・・・・」 桐乃は何も言わない。ちっ、少しくらい嫌がれよな。 「・・・確かに今のままじゃあ誰も桐乃に勝てませんね。 それならお兄さん、私と結婚しますか?」 あやせがそんな発言をした。 「なん・・・だと・・・?」 なにその俺得イベント? ゲームだからって俺がラブリーマイエンジェルあやせたんと結婚して良いの? あれ?いつフラグたった? 「え?なにそれ・・・」 動揺する俺の視界の隅では、桐乃が信じられないものを見るような目であやせを見ている。 「私のほうが加奈子より有利ですし、私と一緒になれば桐乃にも勝てるかもしれませんよ」 「えぇ~、あやせもう結婚してるじゃんよー。 まさか不倫ってヤツ?」 加奈子がからかうように言う。 ・・・加奈子、後で発言を後悔するようなことにならなきゃいいんだが。 「ねぇ加奈子」 あやせはにっこりと笑うと、車の形をした青い自分のコマを持ち上げ、 ポキリと自分の隣に座っている水色のピンをへし折った。 「結婚て何のこと?」 KOEEEEEEEEEEE!! なんか人生ゲームでサスペンス劇場みたいなことが起こった気がするんだが! 桐乃もあやせのとなりでドン引きしているようだ。 あやせは乗り手が一人少なくなったコマを元の位置に戻す。 ・・・よかった。自分のおなかを痛めてまで生んだ子供までは手にかける気はないようだ。 「ねぇ、お兄さん。私のほうが収入もいいし、財産もありますよ。 私を選びませんか?」 あやせが虹彩のない瞳で俺に詰め寄る。 「そんなお古より、加奈子の方がいいべ。 結婚したら、ちゃんと満足するように尽くしてやんよ」 加奈子が小悪魔的な表情で俺にしなだれかかる。 え?何?何でこんなことになってんの? 「加奈子は不定な収入で不安定ですよ。 住んでるのもボロアパートですし」 「なにおぅ!アイドルはヒットしたときのボーナスがあやせとは比べ物になんねーの! 先物買いするなら加奈子だっつーの!」 なんで二人ともたかが人生ゲームでそんなに張り合ってんの? 加奈子はともかく、あやせは俺の事が嫌いなのに、そこまでして桐乃に勝ちたいのか。 もしかして勝者には特別なご褒美でもあんの? 「・・・・・・」 戸惑う俺を挟み喧嘩でも始めそうな二人を無視するように、突然桐乃がゲームへと手を伸ばした。 隣の二人も言葉を止め、桐乃の挙動に注目する。 なんだ?俺たちのやり取りに苛立ったからさっさと続きでもやろうってのか? 桐乃は車の形をした黄色い自分のコマを持ち上げ、 一つ乗っているピンク色のピンを抜くと、俺のコマの上、水色のピンの左に挿した。 「「桐乃!?」」 両隣で驚きの声が上がる。 「二人で喧嘩するくらいなら、あたしが結婚してあげる」 桐乃は不満そうな顔のまま頬を染め、目線を皆からそらしながらそう言った。 それは嬉しいし、二人の喧嘩を止めたいって気持ちもわかるけどよ、それじゃあ三人で喧嘩することになんねえか? 「卑怯だぞ桐乃ぉ!それじゃあ桐乃がさらに有利になるじゃんか」 「そうだよ桐乃。私たちは桐乃に勝つためにお兄さんと、その、結婚しようとしてるんだから、 桐乃が結婚したら本末転倒じゃない」 二人の言葉に、桐乃は自分の横に置いてある札束をつかみ適当に分け、少ないほうをあやせの前に、多い方を加奈子の前に差し出す。 「兄貴と結婚できるなら、あたしのお金は二人にあげる。 ・・・・・・あたしの基本給は高いし、こうすれば状況はイーブンになるでしょ?」 あやせと加奈子は顔を見合わせる。 「せっかくの人生ゲームなんだからさ、これくらいいいでしょ? あたし、もっともっと楽しみたいんだ」 桐乃が少しだけ泣きそうな顔で言う。 ゲームを皆でもっと楽しみたいから、泣きたいくらい嫌いな俺と結婚するのか。 人身御供みたいで嫌だが、同時にゲームとはいえ、桐乃が俺と結婚しようとしてくれているのが純粋に嬉しい。 先に動いたのは加奈子だった。 加奈子はにんまりと笑うと桐乃から差し出された札束をつかみ、 「ひひ。まぁゲームだし、桐乃がそうしたいんならそれでいいじゃね? 加奈子は二人の結婚を認めてやんよ」 それに対しあやせは、 「・・・・・・はぁ。確かにゲームを調整するためって言ったのは私たちだもんね。 うん。桐乃が望むなら、桐乃とお兄さんの結婚を祝福してあげるね」 寂しそう顔で笑うと、桐乃から差し出されたお金を受け取った。 「あやせ、加奈子・・・・・・ありがとうね」 桐乃は泣きそうな顔のまま、しかし嬉しそうに笑った。 ゲームの中で俺とそういう関係になるのは本当は嫌なのかもしれないが、 二人に認められ笑ってくれるのなら、きっとそこまでは嫌じゃないんだろう。 そのことに、俺は胸をなでおろす。 「ねぇ桐乃のお兄さ~ん。加奈子ぉ、お兄さんがどうしたいのか聞きたいなぁ」 加奈子がそんなことを言いながら俺に詰め寄ってきた。 「そうですね。大事なことを聞いていませんでした。 お兄さんは、桐乃とどうしたいんですか?」 続いてあやせが虹彩のない瞳で俺を見る。 「そ、それはだな」 二人からの圧力に言いよどみながら桐乃のほうを見ると、桐乃はじっとこちらを見つめていた。 だが、その顔から少し怯えというか、恐れというか、そんな感情が見えるのは俺の気のせいだろうか。 「・・・あたしも、京介からどうしたいのか聞きたい」 表情とは違い、その声は力強いものだった。 「・・・桐乃、おまえから言い出したんだ。嫌々じゃないんだよな」 「うん。あたしが本心からそうしたいの」 「そっか」 それなら何の問題もない。 俺も安心して、心からこの言葉を言える。 「桐乃、俺と結婚してくれ」 俺は深く頭を垂れる。 桐乃は何も言わずに立ち上がると、ゲーム盤を迂回しゆっくりと俺の隣まで歩き、腰を下ろすと 「絶対に幸せにしてよね」 俺の腕を引き寄せ、ギュッっと抱きついた。 「ああ、絶対に幸せにしてやる」 幸せにするまでもなく、すでに幸せそうな桐乃の顔を見ながら、俺はそう答えた。 果たして、一着はあやせに取られたものの、俺と桐乃は俺たちの幸せを阻む数々のイベントを打ち崩し、 見事一番の資産を得ることが出来た。 『ご祝儀』も4回貰った。 (その度に加奈子にからかわれ、桐乃が顔を赤くしていたが) そしてゲームの間、ずっと桐乃は楽しそうに、嬉しそうに、幸せそうに笑っていた。 ちなみに俺が最下位なら実行されるはずだった罰ゲームだが、何故か最下位だった加奈子が受けることになった。 加奈子は 「加奈子があんなことさえ言わなきゃこんなことには・・・」 「けどよぉ、桐乃の幸せそうな顔が見れて良かったべ?」 「それはそうだけど・・・ でも、それとこれとは別の話だから」 「それヒドくね!? なぁ桐乃ぉ、お兄さん~そんな顔で加奈子を見てねえで助けてくんねぇ!?」 と言いながら、どこからかスコップを持ってきたあやせに連れて行かれた。 「ねぇ京介」 「なんだ?」 「あの時のあんた、ちょっとだけ格好良かったから」 「・・・そうか」 「またいつか、聞かせてくれる?」 「ああ、おまえが望むならな」 「・・・楽しみにしてるね」 あの時から変わらず幸せそうな桐乃を見て、俺は― 「その時は絶対に、今より幸せにしてやるからな」 -Have a happy life...- -------------